県の面積のうちの6分の1を琵琶湖が占める滋賀県。湖北、湖南、湖東、湖西と、それぞれに見所がある。今回滋賀県に訪れたのは、「FLORA FERMENTATION」のホップ畑を見るため。せっかくならと、琵琶湖の周りを一泊二日でぐるっと巡ってきた。
滋賀県って、こんな県
京都からだと電車ですぐ行ける滋賀県。織田信長が築いた安土城、豊臣秀吉が城主として治めた長浜城、井伊直孝が築城した彦根城など城も多く、琵琶湖を水運に活用し、城下町として発展してきた。
豊富な水と肥沃な土壌によって、近江米をはじめとする農業も盛ん。近江牛は、神戸牛、松坂牛とあわせて日本三大和牛と呼ばれている。
日本史の教科書でたびたび耳にする比叡山延暦寺があるのも滋賀県だ。
FLORA FERMENTATION とホップ畑
今回のメインの目的地。FLORA FERMENTATION(フローラ ファーメンテーション)は、東近江市永源寺で、「農と発酵が織りなす最高のビール」をテーマに2024年から醸造を開始。
まず最初に自分たちの畑を持って、その近くにブルワリーを構えてと、ビールづくりの源流には農業があるという想いを大切にしている。

FLORA FERMENTATIONのホップ畑を見学させていただいた。背を越えて高く伸びるホップのツル。「球花」と呼ばれる花の部分を割ると、いつも飲んでいるクラフトビールの柑橘のような香りが。


ラ コリーナ近江八幡
江戸時代から穀物などの種子を商っていたところから、明治5年(1872年)に屋号をそのままに和菓子の販売を始めた「たねや」。その洋菓子部門として、昭和26年(1951年)にパンや洋菓子の販売を開始した「クラブハリエ」。
「ラ コリーナ近江八幡」は、たねや、クラブハリエのフラッグシップショップだ。

建物は緑に覆われていて、映画に出てきそうな世界観。ラ コリーナのなかに、カフェやレストラン、ショップなどが入っている。バームファクトリーもあって、バームクーヘンがつくられる様子をガラス越しに見ることもできる。




ラ コリーナ近江八幡
住所:滋賀県近江八幡市北之庄町615-1
アクセス:JR「近江八幡駅」からバスで約10分
営業時間:9:00 – 18:00(フードコート 10:00 – 17:00)
定休日:-
Web:https://taneya.jp/la_collina/
八幡堀と、TWO RABBITSの限定ビール
近江八幡の名所「八幡堀」。今年1月にもここに来ているのだが、そのときは大雪で、あたり一面真っ白だった。今回は晴天に恵まれ、川沿いに並ぶ木々の緑がとても鮮やか。

近江八幡に来たら立ち寄っておきたいのが「たねや 日牟禮乃舍」。ここだけで食べられる「つぶら餅」がお気に入り。もち米の生地で粒餡を包んで焼き上げた、丸い和菓子だ。

たねや 日牟禮乃舍限定で飲める「TWO RABBITS」のクラフトビールがある。グリーンティーと米を使ったビールと、コーヒーを使ったビールの2種類。和菓子とも相性が良い。
すぐ近くにはTWO RABBITSのタップルームもあるので、そちらもぜひ立ち寄っていただきたい。




城下町として栄えた長浜
近江八幡から電車で、湖北エリアの長浜へ。戦国時代末期に豊臣秀吉が城主として過ごした長浜城があり、城下町として栄えた場所だ。黒壁スクエアなどの観光スポットや、焼鯖そうめんなどのご当地グルメも有名。


長浜を歩いていると、家のすぐ裏手に川が流れている。琵琶湖や、琵琶湖に注ぐ川が生活に密接に関わっていたことが感じられる。
つるやパン
旅先では、ご当地パンなんかもチェックしておきたい。1951年に滋賀で創業した「つるやパン」は手づくりにこだわっていて、やわらかさとほのかな甘さが特徴。いくつかある店舗のうちの「まるい食パン専門店」へ。
見た目から可愛い、まるい食パンサンド。挟まれている具材も、ジャムやあん、たまごや焼きそば、焼サバなんかもあって、どれにするか悩んでしまう。

つるやパン まるい食パン専門店
住所:滋賀県長浜市朝日町15-31
アクセス:JR「長浜駅」から徒歩で約4分
営業時間:9:00 – 17:00(サンドラストオーダー 16:00)
定休日:毎週水曜、第3日曜
Web:https://www.tsuruyapan.jp/
湖のスコーレ
スコーレとは、ギリシャ語で「学校」という意味。長浜駅から歩いて少しのところにある「湖のスコーレ」は、ストアやカフェ、ギャラリーやブックストア、チーズ製造室にどぶろくの醸造所などが集まった商業文化施設だ。
湖国の暮らしの知恵を学ぶ場所として、地元の特産品やライフスタイルアイテムを購入できたり、体験教室が開かれたりしている。


湖のスコーレのなかでどぶろくをつくっている「ハッピー太郎醸造所」には、ハーブやフルーツを使用したものなど、たくさんの種類のクラフトどぶろくが並んでいる。有料試飲で飲み比べることもできる。
どぶろくのうちの1つ、ビールのホップを香りづけに使っている「うきうきホップ」は、FLORA FERMENTATIONの大西さんがホップ選定に携わっている。


湖のスコーレ
住所:滋賀県長浜市元浜町 13-29
アクセス:JR「長浜駅」から徒歩で約5分
営業時間:11:00 – 18:00(喫茶室は11:00 – 17:00)
定休日:火曜
Web:https://www.umi-no-schole.jp/
Instagram:@umi_no_schole
長濱浪漫ビール

「伊吹山の名水が生んだこの環境で長浜を盛り上げたい」という想いから、1996年にビアホールレストランとしてスタートした「長濱浪漫ビール」。FLORA FERMENTATIONを創業した3人が、アルバイト仲間として出会った場所でもある。

近江牛のローストビーフや、鮒寿司、赤こんにゃくといった滋賀県のローカルフードを、クラフトビールと一緒に楽しむことができる。
近江八幡名物の赤こんにゃくは、三二酸化鉄という鉄分が含まれていて、見た目はレバーのように赤い。華やかなものを好んでいた織田信長が赤く染めさせたなど、色の理由は諸説あり。

長浜港から、琵琶湖汽船で竹生島へ
長浜で一泊し2日目は朝から長浜港へ向かい、琵琶湖汽船に乗り竹生島へ。


琵琶湖の湖面から突き出ている多数の杭。「えり漁」という琵琶湖で1,000年以上も続いてきた伝統的な漁法で、この杭に定置網がくくりつけられている。



竹生島
琵琶湖にある無人島の竹生島には、日本三弁財天の一つである大弁財天を祀る宝厳寺や、龍神信仰の都久夫須麻神社(竹生島神社)がある。島全体がパワースポットのような場所だ。


都久夫須麻神社の湖に面した鳥居に向かって、願いを書き込んだ瓦を投げる。鳥居をくぐると、その願いが叶うと言われている。





琵琶湖汽船には、乗船した港に戻る航路と、琵琶湖を横断する航路がある。長浜港へは戻らず、琵琶湖の西側の今津港へ横断。

マキノピックランドとメタセコイア並木
ここからは、湖西エリアを巡っていく。駅から離れているところも多いので、レンタカーで移動。
農業公園であるマキノピックランドを縦断する道路沿い、約2.4キロメートルにわたって、メタセコイアが500本ほど植えられている。夏は長く奥に続く深緑で、人気のフォトスポットとなってる。季節によって見せる表情が変わるのも魅力。

マキノピックランドには農産物直売所や、地元の食材・果物を使ったご飯やデザートが食べられるカフェもあって、ゆったり過ごすことができる。


マキノピックランド
住所:滋賀県高島市マキノ町寺久保835-1
アクセス:JR「マキノ駅」からバスで約10分
Web:https://pic-land.com/
the park 956

琵琶湖を一望できる、絶好のロケーションにあるカフェ「the park 956」は、ドライブのなかで立ち寄るのにぴったりな場所。珈琲のほか、ラテやスムージーなどメニューも豊富。店内のソファも居心地が良い。

the park 956
住所:滋賀県大津市南比良469-1
アクセス:JR「比良駅」から徒歩で約14分
営業時間:9:00 – 16:00
定休日:日・月・木曜
Web:https://thepark956-shiga.com/
Instagram:@thepark956
浮御堂(満月寺)
車を走らせ、琵琶湖の南側、琵琶湖大橋の方へ。琵琶湖大橋は琵琶湖にかかる唯一の橋で、くびれた部分を東西に横断している。
その近くにある「浮御堂(満月寺)」は琵琶湖の湖上安全のため湖中に建立したという。近江八景「堅田の落雁」として、松尾芭蕉にも愛された場所だ。

浮御堂(満月寺)
住所:大津市本堅田1-16-18
アクセス:JR「堅田駅」からバスで約5分、その後徒歩で約7分
拝観時間:8:00 – 17:00
Web:https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/91/
白鬚神社
琵琶湖周辺を巡る旅、最後は「白鬚神社」へ。湖の中に朱塗りの大鳥居があり、国道をはさんで社殿が鎮座。白鬚さん、明神さんの名で広く親しまれている。近江の厳島(いつくしま)とも呼ばれる近江最古の大社。

SUP(スタンドアップパドルボード)を楽しんでいる人もいて、ボートで大鳥居のすぐ下まで近づけるようだ。

白鬚神社
住所:滋賀県高島市鵜川215
アクセス:JR「近江高島駅」から徒歩で約40分、車で約5分
拝観時間:終日拝観自由
Web:http://shirahigejinja.com/
あとがき
昔から今に至るまで、人々の暮らしと琵琶湖が密接につながっていたこと、その一端が感じられる滋賀の旅だった。琵琶湖の水運を基盤として発展した街。街が発展すれば、人も集まる。人が集まれば、お酒を飲む機会も増える。
そして、クラフトビールをはじめとして、お酒をつくる上で水はとても重要。あたりの山々から湧き出した水と、その地で育てた農作物を原料としてクラフトビールを醸造していく。滋賀の歴史や魅力をもっと掘りたくなる旅だった。
琵琶湖沿いを車で走っていると、キャンプをしている人や、SUPなどのウォーターアクティビティを楽しむ人も多く見かけた。今度はアクティビティを目当てに来るのも良いかもしれない。