千葉県の東の端っこ、銚子にある犬吠埼は、離島や標高が高いところを除いて、日本で一番早く初日の出が見られる場所。
犬吠埼に、海を眺めながらクラフトビールが飲める「銚子ビール」のタップルームがあるので、行ってきた。
海と灯台を眺めながら飲むクラフトビール
銚子電鉄「犬吠駅」から歩いて7分ほど。重要文化財にも指定されている犬吠埼灯台は、1872年9月28日に着工し、1874年11月15日に完成した灯台だ。
この犬吠埼灯台、日本の灯台50選にも選ばれている。ではそもそも日本に灯台はいくつあるのかというと、なんと約3,200基もあるらしい。意外と多くて、驚きだった。
そしてさらに、世界灯台100選にも選ばれた灯台でもある。
国際航路標識協会 (IALA) が1998年に提唱した「世界各国の歴史的に特に重要な灯台100選」。日本だとほかには、姫埼灯台(新潟県佐渡市)、神子元島灯台(静岡県下田市)、美保関灯台(島根県松江市)、出雲日御碕灯台(島根県出雲市)が選出されている。
灯台のすぐ近くにある「INUBOW TERASU TERRACE(犬吠テラステラス)」のなかに、銚子ビールのタップルームがある。照らす、テラスで、TERASU TERRACE。
マルシェ、セレクトショップ、ベーカリー、カフェなどが集まった複合施設で、地元で採れた海産物、農産物や、お土産にぴったりな個包装のおつまみなども購入できる。
犬吠テラステラスに入ったすぐ目の前に、銚子ビールのタップルームを発見。持ち帰り用のボトルビールなども取り揃えられている。
創業者の田中快枝さんは銚子出身で、Uターンし銚子ビールを立ち上げた。
少子高齢化で、賑やかだった商店街や繁華街の灯りが1つまた1つと消えていく銚子の街。これまでの経験を活かして故郷のために何かできないか、地元の子どもたちに銚子を誇りに思ってもらえるような事業を立ち上げられないかという想いがあったと、銚子ビールWebサイトの誕生秘話に書かれていた。
「Amorphous Haze(スタイル:Hazy IPA)」は、アジア最大のビールコンペティション「Brew Asia」のHAZY/NEIPA部門で2024年に銅賞を受賞したビール。Hazy IPAのフルーティーさ、ジューシーさを感じつつも、後味はスッキリで飲みやすい味わい。
「犬吠 Black IPA(スタイル:Black IPA)」は、夜の灯台をイメージした黒色のIPA。黒ビールのコクを感じつつも重すぎず、軽やかさのなかにちょうど良い苦味が心地よい。
テラス席で、陽の光をキラキラと反射する太平洋を眺めながらビールを飲む時間は、犬吠埼まで来る手間暇もすべてひっくるめて最高だった。
犬吠テラステラスは2階にもテラス席があり、ここからも海を眺めつつ一息つくことができる。
漁に使う網を使用したハンモック席。フィット感が抜群で、旅の疲れを癒すのにはもってこい。
セレクトショップエリアには、銚子ビールのほかにも、千葉のビールがずらりと並んでいた。
銚子は地球の歴史を感じられる場所
犬吠埼灯台の下は遊歩道になっていて、海に触れるくらい近くまで歩いて行くことができる。
銚子一帯は、日本のジオパークに登録されている。ジオパークとは、地質や地形に地球科学的意義があり、教育や持続可能な開発のために重要な場所のこと。
犬吠埼では、約1.2億年前の地層などを見ることができる。(参考:日本ジオパークネットワーク)
日本有数の漁港がある街
銚子といえば、魚が美味しいところとイメージする人も多いかもしれない。実際、銚子港は全国でも有数の水揚げ量を誇る港で、2011年から2022年までの12年連続で、日本の水揚げ量ランキング1位を獲得している。
イワシ、サンマ、サバなどの青魚を中心に、多くの魚が市場に並ぶ。
銚子沖は、親潮(千島海流)と黒潮(日本海流)がぶつかる混合水域となっている。親潮と黒潮、小学校の社会科で習った、懐かしいワードだ。
この混合水域では、栄養が豊富な親潮と、水温の暖かい黒潮が混ざるため、プランクトンが発生しやすい。そこにさらに、利根川からも栄養豊富な水が流れ込むため、銚子は世界でも有数な漁場となっている。
江戸時代には、利根川の水運により物流が発達。江戸時代後期になると、江戸、水戸に次いで銚子は日本3番目の大都市だった。銚子で生産された醤油や干鰯(ほしか、イワシを干して肥料にしたもの)も江戸に運ばれることから、「銚子は江戸の台所」と称されるほどでもあった。
明治時代には鉄道が開通、大正時代には多くの著名な文人が、避暑地として銚子を訪れていた。昭和になると、自動車により物流がさらに発達。より多くの人が訪れ、産業が発達した。
こうして賑わってきた場所であり、一方少子高齢化の影響で少しづつ人が減ってきている場所だからこそ、銚子ビールが生まれたと考えると、銚子の人の営みの歴史や、すべての出来事が繋がって今があるように感じて、感慨深くなった。
銚子電鉄とぬれ煎餅
銚子を走るローカル鉄道「銚子電鉄」は、特に旅行で訪れた人にとっては必要不可欠な交通機関。車内で流れるアナウンスがとてもユニークなので、移動中、ぜひ聞いてみていただきたい。
犬吠駅などの構内では、銚子電鉄名物のぬれ煎餅なども販売している。ちなみに、お煎餅の味付けにおいて重要な醤油も、銚子の特産物。
銚子の温暖湿潤な気候が醤油づくりに欠かせない麹菌・酵母など微生物の生育に適していることや、前述の通り江戸への水運が発達していたことが、銚子で醤油づくりが栄えた理由だそう。
最後に
東京からは電車で2時間半ほどと、ちょっと足を伸ばせば行ける距離の銚子。美味しいビールやお酒もあり、お魚などのご飯も美味しく、海や灯台など見どころもたくさんある。
都心の繁華街やテーマパークがある場所のように、すべてが揃っているわけではないものの、食や景色をゆったり楽しむにはうってつけの場所だ。
1日たっぷり時間をとって、ゆったり過ごしてみてはどうだろうか。もちろん銚子ビールはお忘れなく!
銚子ビール犬吠タップルーム
住所:千葉県銚子市犬吠埼9575-2
営業時間:通常営業時間 10:00 – 18:00、冬季営業時間 10:00 – 17:00
Web:https://choshibeer.com/
Instagram:@choshibeer
※最新の営業時間等はホームページ、SNS等をご確認ください。
INUBOW TERASU TERRACE
住所:千葉県銚子市犬吠埼9575-2
営業時間:通常営業時間 10:00 – 18:00、冬季営業時間 10:00 – 17:00
定休日:年中無休
Web:https://inubow-tt.com/
Instagram:@inubow_tt
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※最新の営業時間等はホームページ、SNS等をご確認ください。